びいだま

そうだよ。


垣内くん、すごく嬉しそうな顔してたもん。マアコの名前が出たとき。


「・・・けど・・・あいつが好きだったのは瑞貴だよ」


「え?」


立ち上がった垣内くんの顔は太陽の光をもろに逆光にうけて、よくわからなかった。


「瑞貴も・・・・マアコのこと、好きなくせして、俺に譲ろうとしたんだ・・・・それで大喧嘩。しばらく口きかなかったし」


「・・・そうなの?」


「ん・・・・あ、歩く?」


「うん」


ほとんど残ってなかった甘ったるいラムネを飲み干して、私も空き缶の中にビンをそっと入れた。


垣内くんが歩く。


私がその後を、垣内くんの影を踏みながら歩く。


この道は・・・・どこにつながってるんだろうか。
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