びいだま
本当に、これじゃ・・・・ユウに気持ちを伝えられなかったあの頃と同じだよ。
「何言ってんだよ・・・」
「え・・・」
「しっかりしろ。果歩。お前そんなんじゃなかっただろ?」
瑞貴はユウの机を見つめたまま、言った。
「・・・・・」
「今の果歩の気持ち。伝えたい気持ちがあるなら、言ったほうがいいよ・・・・・・それはお前もわかってんだろ?」
思わずうつむいた私の頭の中に、浮かんでくるのは夏祭りの花火、ユウのマンション、ラムネ瓶の水滴・・・・。
やっぱりこの恋を離したくはない。
ユウ・・・・・。
「言って、いいのかな・・・・伝えても、いいのかな」
つぶやいた言葉と共に、涙の粒がひとつ落ちた。
「・・・いいに決まってんだろ?・・・きっとあいつも待ってるよ、っていうか多分同じ気持ちなんじゃないかな」
「・・・・うん」
「だから・・・・がんばれよ~果歩」
そう言いながら瑞貴は私の髪の毛をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ん・・・ありがとう・・」
ありがとう、瑞貴。