びいだま
確か、聞いてたのは、来月。ちょうど卒業式の前の週だって・・・。あと10日間はあるはず・・・なのに。
「いつ、になったの?」
そう聞いた私の前で瑞貴は、息を吐き出すように笑ってから、つぶやいた。
「明日・・・・」
「・・・・っ?」
「ごめんな・・・・それを言いに来たんだ」
「瑞貴・・・・」
いやだ。
瑞貴も、遠くに行っちゃうの?
「瑞貴・・・・っ」
唇をかんだ私を見て、瑞貴はあきれたように笑った。
「お前、泣くなよ~・・・・泣くなよ、果歩」
「だって・・・・」
こんなところで、泣いちゃうと絶対に瑞貴が困るだけだから。
天井を向いてなんとか涙がこぼれるのをがまんした。
「果歩・・・・元気で」
「うん。瑞貴、ありがとう。また帰ってきたら、絶対に会おうね。皆でまた集まろうね」
「あぁ・・・そうだな。楽しみにしてる」
「がんばってね・・・・・うぅ・・」
「だから泣くなって」
ぴん、と私の鼻をはじいて瑞貴は笑ったんだ。