びいだま

「あ~~・・・・どうなんだろうな」


「・・・・?」



垣内くんは片方の目を閉じながらバインダーを覗き込む。


「ほとんど、一緒にいれなかったからさ」


「・・・・・え?それって、どういう・・・」


彼は、なんでもないように息をついてから、今度は教会にカメラを向けた。


「あいつ。今病院にいるから」


「・・・・え・・・?」


「病気なんだ。元々わかってた病気らしいんだけど・・・今はF市の病院で治療を受けてる」


そうやって、私が見つめるそばで、垣内くんは何枚も何枚も、流れる雲一つ一つにまでシャッターを切ってた。


じん、と麻痺したような頭の中で、彼の言ってる言葉一つ一つが深く突き刺さっていく。



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