びいだま
マアコが病気でずっと入院してるということ。


入院中退屈だから、と好きな風景の写真を撮り続けて送ってるということ。


そして・・・・


「俺、今年の暮れか来年の初めにF市に行こうと思ってるんだ。カメラの勉強もしたいし・・・・高校にはもう了解とってある」


その一言で、私の記憶は簡単に途切れた。


何をどうやって話して、どうやって帰ってきたのかわからない。


けれど、ショックを受けていても、私の体は勝手に学校に行って、勝手にまた家に帰ってきたみたい。


その間の感覚が全くないだけで。


ただ、学校に向う電車の中で垣内くんが瑞貴くんのことを言ってたのだけうっすら覚えてる。


「あいつが誰かのこと好きだ、っていうのなんて初めてなんだ」


って。


そんなこと、どうでもいいよ。


どうでもいいよ・・・・!


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