びいだま

「悠司がね・・・・・今日帰ってくるなんて知らなかったから、本当、びっくりした」



あんなさんがユウを見つめながら言う言葉を私は黙って聞いていた。



「果歩ちゃんも、知らなかったんだよね・・・・?さっきコマキちゃんから聞いた。本当、結構昔からいきなり、ってとこがあってね。人には相談しないで自分でなんでも決めちゃうの」



くすくすと笑ってあんなさんが大事そうにユウの髪の毛をなでた。



「危なっかしくって、でも最後にはちゃんと自分でなんとかしちゃうんだよね・・・・本当、かわいくないやつ・・・・」



そうつぶやいて言葉をつまらせたあんなさんは・・・・・・気丈に見せてるけど、お互いひとりだけの肉親だもん・・・・心配じゃないわけがない・・・・。



その気持ちが痛いほどわかって、でも何を言っていいのかわからずに、ユウの顔を眺めた。




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