びいだま
その時。
見つめる先の彼の唇がかすかに動いたような気がして、私は思わず身を乗り出した。
ユウ、何?
そしてつないだ指先がピクリとはねたのを感じた。
「ユウ?・・・・ユウ・・・」
何度も繰り返す私の言葉に、あんなさんが枕元で大声で叫ぶ。
「悠司っ!?悠司っ!・・・早く起きなっ!皆・・・・果歩ちゃんが待ってるから・・・」
「ユウっ!」
その瞬間のことを、私は多分一生忘れない。
ゆっくりと開いた彼の瞳を。
何度かまぶしそうに瞬きながらぼんやりと私を見つめたその眼差しを。
「・・・・マアコ・・・・」
それから・・・・彼の唇が最初につむいだ言葉も・・・・・
・・・・ユウ。
それでも私は・・・・あなたが生きててくれたから、それでよかった。
それで、よかったんだ・・・・。