びいだま

「気をつけて帰ってね・・・・」



そういってあんなさんがとめてくれたタクシーに乗り込んだ。



「そうだ・・・遅くなってごめんね?卒業おめでとう・・・こんな日に、本当にごめんね」



少し涙をうかべたあんなさんの顔に何も言えずにただ頷いて私は病院を後にしたんだ。




すっかり暗くなった夜の空には、さっき見えてたはずの星はもうなくなってた。



代わりにオレンジ色の街の光が私の横顔を次々に流れていく。



私は、ぼんやりとした頭の中で、さっきのあんなさんの話を思い出していた。




・・・・・


「看護師さんが教えてくれたんだけど、悠司ね、隣の男性にかばわれたらしいの・・・」


「え?」


その人は・・・・


「その人は・・・・残念ながら亡くなったみたいで・・・・救急隊員の人が現場に行った時には悠司の意識はまだあったらしいんだけど・・・ぼーっ、としてたって・・・」



ユウ・・・・っ。



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