びいだま

とはいえ・・・



垣内様、と名札の下がった病室のドアの前で、言い知れない不安と、緊張でノブにかけた指先が少しすくむ。



すうぅ、っと大きく息を吸い込んでドアを引いた。



「おはよう」



ドアが開くと、窓が開いてるのか、やわらかな風が白いカーテンをふくらませた。



ユウ・・・・。



寝てるの?



目を閉じたユウの前髪がさらさらと風に揺れている。


閉じたまつげが影をつくって・・・キレイ・・・・・。



ドキドキし始める胸が、だけど少し・・・・痛い。




私は、その胸の痛みをごまかすように、カーテンを開いて、窓を閉めた。






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