びいだま
「・・・・あれ?」
声に振り向くと、ユウが目をこすりながらテーブルの上のメガネに手をのばしたところだった。
即座になり始める強烈な動悸を気づかれないように私は軽く頭を下げた。
「えっと・・・・今日は・・・姉ちゃんいないけど・・・・」
ここに来るのはあの事故の日からもう3回目。
今まではあんなさんがいたから、なんとなく話は出来てたものの・・・・
結果的には全然私やコマキのことは記憶にはないみたいで・・・・
完全にあんなさんの友達、という位置づけに私はいると思われ。
「あ、あぁ・・・・。今日はどうしても外せない仕事が入ってるって、あんなさん言ってたよね・・・・」
ごまかすようにカバンを触りながら昨日聞いてたあんなさんの仕事の話をしちゃう私は、やっぱり間抜けなのかもしれない。
「ふ~ん・・・・」
たいして興味もなさそうに相槌を打つユウの言葉の先はただ、窓からかすかに聞こえる子供たちのはしゃぐ声にかき消されていく。
「・・・・・てか、どうぞ?」
「あ・・・・ハイ・・・」
目で椅子を示され、遠慮がちに座ると、ユウはぷっ、と噴出した。
「えっと・・・いつもそんなに緊張してんの?」
「え・・・・?」