びいだま
病室を出た私の頭を、あんなさんは一言「ごめんね・・・・」といって抱き寄せた。
うぅ・・・・っ。
こらえてた大きな涙の粒が胸の痛みと共に吐き出される。
病室の中に聞こえないように、窓際で肩を震わせていると、
「あの・・・・果歩さん・・・?」
先に振り向いたのはあんなさん・・・
「おばさん・・・・」
続いて私も振り返ると、そこには思いつめたような顔をしたマアコのお母さんが立っていた。
「少し、いいかしら・・・・?」
そうやって、案内されたのは、いつかの待合室。
そこには今日は誰もほかに人はいなかった。
部屋に入ると同時に、マアコのお母さんは深々と頭を私達に下げた。
え?
「すみません・・・・すみません・・・・」
何度も頭を下げ続けるマアコのお母さんが、どうしてそんなことを言うのかわからずに私もあんなさんも何も言えなかったんだ。