びいだま
「でも、それは、今マアコちゃんが目を覚まさないのと、関係ないんじゃないんですか?」
あんなさんが、言ってくれる、その言葉にお母さんは深く頷いた。
「そうかもしれません。けれど・・・・親としたら少しの可能性でもあればそれにかけたいんです。親ばかだと笑われるかもしれませんが・・・」
「それは・・・・ユウがマアコの近くにいれば、ということですか?」
自分自身でも驚くほど冷静に出た私のその言葉に、あんなさんが驚いたように見つめた。
「果歩ちゃん・・・・っ」
ユウや、瑞貴が言ってた。
大切にしてきた友情、それがなによりもあの3人にとって大事なものなのか、少しはわかるから・・・・
「今の悠司くんが、あなたと出会う前に戻ってるのなら・・・・」
「忘れてるのなら、忘れたままにして欲しい、って・・・・そういうことですよね・・・」
言葉が・・・・とまらない。
「果歩ちゃんっ」
あんなさんが叫び声にも誓い悲鳴のような声を上げたその横で、私は静かに頷いた。
「・・・・わかりました」
私の知ってるユウだったらどう言うかな?
怒って・・・くれるかな?
けれど・・・・ユウがずっと大事にしてきた友情ってものがなくなるとしたら、
このままマアコが目を覚まさないことにでもなったとしたら、
きっと、ユウは悲しむよね。
苦しむよね。
そうだとしたら・・・ユウの悲しむ顔をもう見たくないから。
ごめんね。