びいだま

白の世界


入学式を明日に控えた日。


私はいつものように病院へと向かった。



「こんにちは・・・」



あれ?


ユウ?



そこにいるはずのユウの姿がない。



確か・・・・退院は明日のはずだけど・・・・。



病室の中でキョロキョロと見回してると、



「あぁ、果歩ちゃん!」


「あんなさん」



なぜか息をきらしたあんなさんが部屋に駆け込んできた。



「やっぱり。まだいない・・・・ほんとうに、あいつ・・・どこにいったんだろう・・・」


「あいつって・・・・ユウが、どこかに行ったんですか?」


「そう・・・・。本当に・・・・退院が決まってから時々こんなことがあるんだよね・・・ふらっ、とどこかに行ってまた少ししたら帰ってくるんだけど・・・」



ユウ・・・・。



「でも、困ったなぁ・・・・もう少しで退院診察もあるっていうのに・・・」


「あんなさん、私も探してみます」


「うん、お願い。ごめんね」


「いえ」



そう言って、病室を出てみたものの・・・・


当てがあるわけじゃないし・・・。


< 340 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop