びいだま
「ん~・・・・天気が良かったから、かな?」
「ハハッ。すげー・・・・。姉ちゃんにもばれてねぇのに・・・」
そう言うと、彼は足元のバッグからカメラを取り出し、それを空に向けた。
「今さ、俺の友達が手術の後なかなか起きなくてさ、この病院に入院してんだ」
「・・・・・うん」
「・・・もしかして、姉ちゃんに聞いた?」
「・・・・・うん・・・・」
表情が変わるのを知られたくなくて、フェンスにひじをついて両手にあごを乗せた。
そんな私に構わずユウはシャッターを切り続ける。
「マアコ、っていうんだけど・・・。俺は明日で退院しちまうから・・・・・目を覚ました時に少しでもキレイな風景を見せてやりたくてさ。病院の真上の写真を撮りたかったんだ」
「・・・うん」
あの時と同じだね。
初めてマアコのことを聞いたときも、同じようなことを言ってた。
あの時も胸が苦しかったけど・・・・今はもう少し。焼けるように痛いよ。