びいだま
瑞貴もユウの記憶のことを誰かから聞いてるのか、少し怪訝そうな顔をしてたずねた。
「お前・・・・俺が海外行ってた事、なんで知ってんの?」
「は?何で知ってる、って・・・・変なこと聞くなよ」
「変なことって・・・・じゃぁ・・・・」
と言って瑞貴はあんなさんの隣にいる私を見つめた。
「果歩は?果歩のことも、覚えてんのか?」
「瑞貴!!」
とっさに瑞貴の服の裾をつかんだ手は小さく震えてる。
ダメ。
瑞貴、ダメ・・・・っ!
「カホ・・・?って、もしかして大橋さんのこと?覚えてる、って何を?」
不思議そうに首をかしげるユウに瑞貴は、ユウに向かってあげかけた手を力なく落とした。
「『大橋さん』って・・・・なんだよ、それ・・・・お前、本当に・・・・?」
「瑞貴・・・・、もういいから。ちょっと・・・いい?」
私は、瑞貴の言葉をさえぎって彼の腕をひっぱり、病室の外に出た。