びいだま
「ホントは・・・・今すぐにユウに思い出してほしいよ。いっぱいいっぱい約束したこともあったから。思い出して、私を見て、って言いたいよ」
私のその叫びは、途中から嗚咽に変わる。
悲しくて、苦しくて・・・・会いたくてたまらなかったのに・・・その人が目の前にいるのに触れられないなんて。
「マアコじゃなくて、私を見て・・・・って本当は言いたいよ・・・・」
これが私の本音。
「マアコ、って・・・・?なんだよ、それ」
いぶかしげに私の肩をつかんだ瑞貴に、私はごまかす余裕もなくて、ゆっくりとマアコのお母さんの話を伝えた。
「は?何それ・・・なんだよ、それっ」
座ってたソファから、勢いよく立ち上がった瑞貴は、ユウの病室に足を向けた。
「待って!だめっ!・・・・言っちゃダメ!・・・・お願い、瑞貴・・・・」
腕をつかんだ私を見下ろして、瑞貴が悔しそうに唇をかんだ。
「なんでだよ・・・・。そんなの・・・お前の気持ちとユウの気持ちはどうなるんだよ・・・」
「・・・・・ユウは絶対に苦しむだろうから・・・・・マアコが・・・ユウのことが好きだって、それが本当だったら、絶対に自分を責めるよ・・・・私のことを思い出したら、きっともっと辛くなる。だからお願い・・・・」
瑞貴は、もう一度ぐっ、とユウの病室を向いてから、ドスン、とソファに腰を下ろして両手で頭をおおった。
「はっ・・・・わけわかんねーよ・・・お前も・・・ユウも・・・・・」
「・・・・・ごめんね・・・・・瑞貴・・・」