びいだま

「何、やってんだよ・・・・」



その低い声は、


あぁ・・・


これってあの文化祭の時のユウだ。


コンパに行った私を、連れ戻してくれた彼の姿が鮮やかに蘇る。



もしかして、元に戻れるの?


そしたら、


そしたら・・・・




「ユウ・・・・」

「あ・・・・ごめん・・・!」



彼を呼ぶ声は、ユウの謝罪の言葉に完全にかき消される。


私は解放された腕を、じっと見つめた。



「わりー・・・・何やってんだ、俺・・・・」



もう一度見上げると、ユウは小さく頭を振ってから、倒れてる瑞貴に手を伸ばした。


「ユウ、お前はさ・・・」

「ごめん、邪魔しちゃったな」



瑞貴の言葉を聞かず、ユウが発した言葉に、心が固まる。



・・・・と、同時に一瞬抱いた小さな期待という名の希望は、より大きな絶望という名の悲しみとなって私の心を深くえぐった。



・・・・・・しかも、誤解してる?




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