びいだま
「ユウ!」
「あ、果歩」
放課後、帰りの電車待ち、ホームの上で、ユウの肩をたたいた。
「こんな時間に、めずらしいね」
いつも、もっと早く学校が終わればすぐに帰っていくのが、ユウのいつもなのに。
今日はもうすでに夕暮れ間近。
「ん~・・・・呼び出しくらってて」
「何?なんか、悪いことでもしちゃった?サボりすぎだぞ!・・・とか?」
「ハハハ、なんだよそれ」
担任の先生の真似をしてみせた私を、ユウは笑った。
それだけで。
それだけで、胸の奥がキュー、と絞られる。
笑い声が好き。笑った顔が好き。
やっぱり・・・・ユウが好き。
「それも言われたけど・・・・・来年のことについて・・・ちょっと」
「あ・・・・・うん」
瑞貴が来年の初めには、高校からいなくなる、って話だ。
そしてマアコの元に・・・・行くんだ。
「ここになってさ。担任が単位ヤバイかも、って話しやがって・・・。で、交換条件に学祭のスタッフになって貢献しろ、って」
「え?」
学校の行事にはほとんど参加したことがない、って前言ってたよね。
「それで・・・・どうするの?やっぱりしないの?」
「・・・・やるよ。学祭のスタッフでも何でも」