びいだま
「・・・わっ、すごいイケメン・・・・」
「誰?ここの人?」
ふいにざわざわと後ろの方で声がしたかと思ったら、ぽんと肩を叩かれて振り返ると・・・
「瑞貴?」
「果歩、おめでとう」
にこっ、と笑う瑞貴は、スーツにネクタイだし・・・。
「どしたの?瑞貴、なんでこんなとこに?」
「ははっ。今さ、クラブの挨拶に行ってきたの。言ってみれば俺も入学式?みたいな」
そう言って、少し照れくさそうにネクタイを指差して見せた瑞貴は、やっぱり女の子の注目を集めてる。
「・・・・相変わらずだね?王子っ」
「はぁ?お前がそれを言うなよ」
頭を小突かれて、ぷっ、と噴出すと、瑞貴は息を小さく吐いて口元をほころばせた。
彼がこの春からクラブでサッカーを続けることに決まったということを聞いて、私は少し複雑だった。
瑞貴がいてくれる、という嬉しさと。
また、瑞貴に頼ってしまうのかも、という・・・・弱さ。
「てか、俺もこの格好だと学生に見えるよな?充分」
そう笑った瑞貴に、私は今考えてた心をごまかすように笑って見せた。
そんな私に、瑞貴は安心したような顔をしてから言葉を切り出した。