びいだま

「・・・・そっか・・・」


マアコのため、だもんね・・・。


「がんばってね!」


「てか・・・・お前も、なんだけど」


「へ?」


思わず目を丸くした私を横目に、ユウはホームに入ってきた電車に乗り込みながら私の方に振り返った。


「乗らないの?」


「え・・・あ、乗る!乗りますぅ!!」


そう叫びながら飛び込んだ私の背中でプシュー、と扉が閉まり、そろそろと顔を上げると、周りの人がいっせいにさっ、と視線をそらすのが、わかった。


瞬間、ププッ、とユウがこらえきれずに噴出した。


「果歩、落ち着きなさすぎ」


うぅ~~~・・・・。


「・・・で、どういうことなの?お前も、って」


聞く前から嫌な予感がするんだけど・・・・


「あぁ・・・・学祭の役員、お前もすることになったから」


「ええ~~っ!?」


あ、また・・・やっちゃった。周りの人がちらちら見てるよ~。


あわてて口を押さえた私のおでこを、カバンを持ったままの手でコンと小突いてユウは、口だけ「バーカ」と動かして笑った。


・・・こんなに笑ってくれるなんて・・・恥ずかしいけど、嬉しい。

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