びいだま
「なんで、俺がこんなの持ってるのか全然わかんねーんだ。土産、ってワケでもなさそうだし・・・・」
「ユウ・・・・」
「けど・・・なんかわかんねーけど、嬉しいんだ。これ見てるとなんか幸せな気分になる」
「ユウ、お前な・・・・」
瑞貴の言葉を遮ぎると、彼は少し声を大きくした。
「今、マアコの母さんに言われたよ・・・・マアコが俺を必要としてる、って・・・だから、きっとこれもマアコの・・・」
「ユウッ!お前っ」
瑞貴の剣幕に、ユウはびっくりしたように顔を上げた。
瑞貴は、何かを言いかけてぐっ、と声をつまらせ、私をちらっと振り返ってからその腕を離した。
「俺・・・マアコの母さん探してくるわ。お前らこんなんじゃダメんなる」
「・・・お前ら?」
繰り返すユウの言葉には答えず、瑞貴は私をもう一度見て、小さくうなづいてみせた。
言え・・・・ってこと?
「果歩・・・がんばれ」
そうつぶやいて、瑞貴は私の肩に軽く手を置いてから部屋を後にしたんだ。