びいだま

「なんで、俺がこんなの持ってるのか全然わかんねーんだ。土産、ってワケでもなさそうだし・・・・」


「ユウ・・・・」


「けど・・・なんかわかんねーけど、嬉しいんだ。これ見てるとなんか幸せな気分になる」



「ユウ、お前な・・・・」


瑞貴の言葉を遮ぎると、彼は少し声を大きくした。


「今、マアコの母さんに言われたよ・・・・マアコが俺を必要としてる、って・・・だから、きっとこれもマアコの・・・」


「ユウッ!お前っ」


瑞貴の剣幕に、ユウはびっくりしたように顔を上げた。


瑞貴は、何かを言いかけてぐっ、と声をつまらせ、私をちらっと振り返ってからその腕を離した。



「俺・・・マアコの母さん探してくるわ。お前らこんなんじゃダメんなる」


「・・・お前ら?」



繰り返すユウの言葉には答えず、瑞貴は私をもう一度見て、小さくうなづいてみせた。



言え・・・・ってこと?



「果歩・・・がんばれ」



そうつぶやいて、瑞貴は私の肩に軽く手を置いてから部屋を後にしたんだ。





< 372 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop