びいだま

「マアコ、今日は少しいい感じだよ」


マアコの枕元にカバンから取り出した2、3枚の写真をおくと、それは恥ずかしそうに風にちょっと揺れた。


「やっぱりなかなかいいのは撮れないや。まだまだだね」



少しぶれてるその写真は、この春から始めた私の作品。



ユウがあの頃言ってた「写真から伝わるもの」がなんなんだろう、って。


それを知りたくて、そして私が出来るならそれを届けたくて、みようみまねで写真を始めた今年の春。



そして、私の心に響いた風景を撮って、マアコのところに持ってきてるんだ。



「・・・・だって、マアコだったら失敗しても笑ってくれそうだもんね」



へへへ、と笑って彼女の横顔を見つめた。



辛くないの?ってコマキには心配されるけど、私は人に言えないような一人暮らしの恥ずかしい失敗や、大学の怖い先生のことなんかをマアコに話す。



マアコが、ふわふわと花のようにうんうん、とうなずいてくれる気がするから。



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