びいだま

「じゃな」

「ユウっ!」



歩きかけたユウの背中に、瑞貴が声をかける。



それにユウは少しだけ振り向いて、瑞貴を見、そして・・・・



ほんの一瞬だけど、やっぱり目が合ったような気がして、少し緩んだその彼の口元に、つい唇が動いた。



「ユウ・・・・」



それでもやっぱりその声は音にならず、私の喉元で虚しく消えていく。



どうして?


どうして?ユウ・・・・。



言えない言葉の前で、ユウはすぐに顔をそむけて片手を上げた。



「バイバイ、大橋さん」



そして、そう言い残し、ユウは女の子と姿を消したんだ。



・・・・なんで・・・



「どうしてぇ・・・・?」



体から力が抜けてずるずると壁をつたって座り込むと、大きな失望、絶望感が、深く深く体を重くしていく。



女の子と一緒だった、っていうことより、


あんなにすぐに「やめた」って・・・・。


どうしたの?


本気なの?



ユウ・・・・。


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