びいだま
「送るよ」
「・・・・うん。コマキ、ごめんね?」
彼氏に迎えに来てもらう、というコマキにバイバイをして、タクシーに瑞貴と乗り込んだ。
瑞貴が行き先だけ告げると、車はゆっくりと走り出す。
しばらくエンジンの音だけの静かな車内の中で、瑞貴が静かに切り出した。
「・・・・果歩・・・あいつは・・・」
「永遠だと、思ってたの」
「え?」
さえぎられた言葉に、瑞貴は、私を見つめる。
私は・・・・・流れる街の光を頬に感じながら言葉を続けた。
「永遠だと、思ってた。この気持ちは・・・この恋は、永遠だって・・・・」
「・・・・・」
「だからね、ほんの少し、心のどこかで、ユウがカメラを続けてれば、その気持ちがなくならなければ、きっと思い出してくれる、って期待してたのかもしれない・・・けど・・・・」
思わず閉じた瞳からさっきは出なかった涙が頬を伝っていく。
「もう・・・・ムリなのかな、って・・・・ギリギリのとこがなくなっちゃったのかな、って・・・」
「果歩・・・・」
瑞貴の大きな手のひらが、私の頭を彼の肩にひきよせた。
「私も・・・・辛いよ・・・・・苦しいよ・・・・」
声を押し殺しながら涙を流し続ける私に瑞貴は何も言わずにずっと肩をかしてくれてたんだ。