びいだま

「・・・・瑞貴・・・私・・・」



言いかけた私の言葉を、ぎゅっ、と胸におしあてて、瑞貴はハ~~、っと息を吐いた。



「・・・お前が、あいつのことまだ好きなのはわかってる。けど・・・悔しいけど俺はそんな果歩も好きなんだ。今の果歩が全部好きだよ。全部好き」



「瑞貴・・・・」


「なんか・・・・俺必死。ハハハッ」



そう笑って瑞貴はゆっくりと私の肩を両手で持ちながら、視線を合わせた。


心臓がトクントクンと鳴り始める。


瑞貴のまっすぐな瞳が私を・・・とらえた。


近づく顔に、そっと目を閉じた瞬間。



ユウ・・・・。


彼の笑顔が頭の中にふっ、と現れた。

幸せそうな笑顔に、やっとかれたばかりの涙がひとすじ頬を伝って落ちる。


もう・・・いいんだよね。

もう・・・・いいのかな。





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