びいだま

セツナイKiss


翌日、マアコの病室。


「誕生日おめでとう」



そうつぶやくと、彼女が今にも「ありがとうっ」って笑うような気がした。



朝・・・・瑞貴からメールが来てた。


昨日の内容なんて全然書いてなかったけど・・・・


ただ、普通の「行って来ます!」メールだったんだけど・・・・。



「マアコ・・・・どうしたらいいのかな・・・・」



そう問いかけても、マアコは静かな息をたてて眠り続けてるだけ。



あ、そうだ・・・・。



私は、カバンを引き寄せて中から写真を取り出した。



「今朝ね、すごいきれいな虹がかかってたんだよ」



朝、目が覚めて、窓越しに見えた虹に。思わずシャッターを切ったんだ。



「やっぱりぶれてる・・・」



写真で見ると、虹が少しにじんでるように見えた。



ごめんね、と言いながら、マアコの枕元にそっとそれを置いたんだ。




< 395 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop