びいだま

その言葉に、ユウは笑顔を消して、写真を元に戻した。



「ねぇ、悠司くんは、写真もう撮ってないの?」



「・・・・・」



「どうして?・・・・・目指したいことが、変わったの?」



もし、ユウ自身が他の道を見つけたのなら、いいけれど・・・・



見つめた先で、ユウが写真をおいて言葉を吐き出すように言った。



「やりたいこと!?・・・・そんなの・・・・っ」



そう言うと、彼は一瞬だけ天井に視線をさまよわせてから、ふっ、と息を漏らしてつぶやいた。



「・・・・今の仕事は、やりたかったことだよ」



「カメラは・・・?」



「あんなの・・・・やめた」



そう言ってユウが口角を少し上げた。



「・・・・・あんなの、金にもなんねーしな」


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