びいだま

「悠司、くん・・・・」



ユウ・・・なんで?



この前、あんなに嬉しそうに、空にカメラを向けてたじゃない。



「帰るわ・・・」



ユウが、ドアに向かいそのノブに手をかけたときに、私は思わず言葉を漏らした。



「じゃぁ・・・・なんで、笑ってないの?」



「・・・・は?」



ユウが怪訝そうに私を見つめた。



「ユウ・・・悠司くんは、前・・・・すごく嬉しそうに笑ってた」



「前?」



空を眺める時、いつも嬉しそうに笑ってじゃない。


それは・・・記憶を失った後でも、あの白と青の世界の中で変わることはなかった。


それは、私の喜びでもあったんだよ。


最後の・・・・希望でもあったんだよ。



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