びいだま

息を吸い込んだ。



目の前にある、確実な幸せを。


大事な人を、



今から私がめちゃくちゃにするから。



「ごめんね。瑞貴。私はそれをつけることができない」


「・・・・・・過去に苦しみ続けるの?」


「・・・ううん。私にとっては過去じゃないの・・・彼のことは過去じゃない・・・」



首を振って瑞貴を見つめた。



「今、好きな人がいるの・・・・」


「果歩・・・・」


「その人のこと、忘れることなんて無理そうなんだ。だから、今それを受け取ることはできない・・・・それに・・・瑞貴だけはどうしてもダメだよ・・・ダメ、なんだよ」



決定的な言葉に、瑞貴はぐっ、と唇を軽くかんでから、目を閉じ肩で息をついた。



「・・・・もし・・・・俺が、あいつの友達じゃなかったら・・・・・・・なんて・・・ごめん・・・・踏ん切り悪すぎだよなっ。忘れて・・・」


「ううん・・・・私こそ、ずっと曖昧にしてきて本当にごめん」



だけど、


「こんな時に言うのはおかしいかもしれないけど、私瑞貴が好き。マアコが好き。コマキが好き・・・・みんな大切なの。だから・・・だから・・・・」



自分でもすごくひどいことを言ってるのがわかる。


なのに、なんで・・・・?


なんで、そんなに・・・・・




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