びいだま
私の言葉が終わらないうちに、瑞貴がふわっと私を抱きしめて耳元でつぶやいた。
「いなくならないよ・・・果歩が望むなら・・・・・俺はずっと友達で・・・・・」
そう言いながら、瑞貴は抱きしめるその腕の力を少し強めた。
「ごめん・・・・今だけ。もう、これで最後だから・・・・本当に本当に好きだった。あきらめ悪いとこ。がまんして笑うとこ。まっすぐに・・・まっすぐに好きな奴を想うとこ・・・・全部」
「瑞貴・・・・いつも助けてくれてありがとう。私もそんな風に優しくなれたら、って憧れてたよ」
「・・・・・憧れ、なんだよな・・・・」
「ごめ・・・・っ」
「本当にムカつく奴!」
そう言って瑞貴は私の体を離して、にっ、と笑って見せた。
「ムカつくから、これからも友達でいてやるよ」
「瑞貴・・・・」
瑞貴は、後で後悔すんなよー、なんてふざけて笑った。
私は・・・・
もうこれ以上、何を言っても、気持ちをあらわす言葉が思いつかなくて、一緒に笑ったんだ。
瑞貴の目にも、私の目にも、
さっきの指輪みたいにキラキラと輝く雫が見えた。
瑞貴、ごめんね。
ごめんなさい。
そして、本当に、ありがとう。