びいだま


「あれ・・・・やっぱり果歩ちゃん来てたんだぁ~・・・・」



そう笑いながらあんなさんは椅子に腰をかけた。



そして、カバンを隣のテーブルに置きながら、あんなさんは私の手元の写真を見つめた。



「・・・・もしかしてそれ、悠司の?」



「あ・・・はい・・・・・」



「そっか~・・・・」



ユウがいなくなって3ヶ月がすぎた。



あんなさんとは時々会ったりしてるけど、このごろはお互いにユウの話題を避けてるところもある。



かなしすぎるんだ。


やるせなさすぎる・・・。



「・・・・そこにうつってるの・・・・もしかして、あの教会?」



「はい。そうみたいです・・・・」



写真をみつめた私に、あんなさんはため息をついた。



「その教会ね、取り壊しが決まったって・・・。老朽化が進んでて・・・・・つい10日ほど前に工事が始まったみたいだよ」


「え・・・・っ?」



思わず漏らした驚きの言葉は、マアコと重なった。


< 452 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop