びいだま
アオの彼方
・・・・久しぶりに訪れた草原は、
もう、夏も終わりかけだというのに、
青い草のにおいがぷんと鼻をついた。
息を切らして上った坂道の向こう。
白い教会。
「とりこわれることになるんだって・・・」
あんなさんから聞いた言葉が呼び起こされる。
ほんの少し息を整えて、そっと壁を触る。
ざらざらしたしろい壁は、夏の日差しを受けてやわらかな温かみを指先に伝えてくる。
・・・・・さみしい。
だけど・・・・
取り外された鐘の跡を見上げて日差しに目を細めた。
だけど・・・・
終わるわけじゃない。
この教会がなくなっても、
私の中の風景にはいつもきっとこの教会がある。
この草原には、いつだってこの教会はあり続けるんだ。