びいだま
「果歩・・・」
「あ・・・・」
目を開けると、そこには太陽じゃなくて・・・・暗闇。
背中が少し痛い・・・。
どこ、ここ・・・・。ごつごつとした感触。
遠くに見えるオレンジ色の光。
ベンチ・・・。
私はそこに仰向けに寝ていた。
さっきの声は・・・じゃぁ、もしかして・・・・。
私が目を開けたのを見て、覗き込んだユウはほっとしたようにため息をついて空を見上げた。
「・・・・ユウ?」
「倒れたんだよ。お前・・・」
倒れた・・・・。
「呼んでも返事ねぇし・・・・あせった」
「・・・・ごめん」
「ううん。こっちこそごめん・・・果歩のペース考えないで歩いた俺が悪かった」
・・・向こうの喧騒が嘘のように2人の間を沈黙が包みこんでいる。
もしも・・・
私は上を向いたまま、息を吸い込んだ。