びいだま

しばらく言葉を止めたユウは、搾り出すように低く声を出した。


「瑞貴が・・・すげぇ、悲しむから」


・・・瑞貴?


「なんで?」


「なんでって・・・瑞貴がお前のこと好きだからだろ?好きな奴が・・・いなくなったら・・・・すげぇ・・・寂しいと、思うから」


瑞貴は、彼女がいるはずでしょ?


私の心の声が聞こえるかのように、ユウはため息と共に言葉を続けた。


「あいつは、まだお前のことが好きだよ」


「そんなわけ・・・・」


「友達だから・・・・・、親友だから・・・わかる」


「ユウ・・・・」


ユウ・・・・、ユウ・・・・。


必死で首を横に振って、ユウの後姿を見つめた。


私が聞きたいのは、そんな答えじゃないよ。


そんなのじゃない。


ユウ・・・。



「私は・・・・」


その時こっちをやっと見たユウの顔は、オレンジ色の光をバックにうけて、どんな表情をしてるのかわからない。


けど、そのほうがいい。


今は、そのほうがいい・・・。


「私は・・・私が好きなのは、ユウなのに・・・・ユウ、なんだよ?」






< 50 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop