びいだま
「そういえばさ~」
「さっきから、違う話ばっかり!コマキ!!先生に提出しなきゃだめなんでしょ?今日中に!」
「わかってるよ。わかってるって・・・・もうっ・・・・って・・・・そうそう」
全然わかってないじゃない。
本当にもう・・・・。
ため息をついてノートをぺらぺらとめくった私に、コマキは少し「ふーん」と鼻をならしてからシャープペンで鼻の先をつんつんとつついた。
「今日、らしいよ」
「ん?」
「だから・・・・王子たちがF市に行くのって・・・」
え?
「あ・・・・ふーん・・・そう・・・・・」
マアコに会いに行くんだ。
瑞貴と・・・・ユウ・・・。
だめだ。
忘れかけてた胸の痛みがじんじんとこみあげてくる。
それでも、なんとか顔に出さないように、私は窓の外に目をそむけた。