びいだま

「そういえばさ~」


「さっきから、違う話ばっかり!コマキ!!先生に提出しなきゃだめなんでしょ?今日中に!」


「わかってるよ。わかってるって・・・・もうっ・・・・って・・・・そうそう」


全然わかってないじゃない。


本当にもう・・・・。


ため息をついてノートをぺらぺらとめくった私に、コマキは少し「ふーん」と鼻をならしてからシャープペンで鼻の先をつんつんとつついた。


「今日、らしいよ」


「ん?」


「だから・・・・王子たちがF市に行くのって・・・」


え?


「あ・・・・ふーん・・・そう・・・・・」


マアコに会いに行くんだ。


瑞貴と・・・・ユウ・・・。


だめだ。


忘れかけてた胸の痛みがじんじんとこみあげてくる。


それでも、なんとか顔に出さないように、私は窓の外に目をそむけた。


< 54 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop