びいだま
おとぎ話
「確か・・・・このあたり・・・」
携帯を開いてキョロキョロしながら歩くコマキの後ろを、ゆっくりついていく。
さっきF市に入ってから、動悸がとまらない。
「ここだ・・・」
見上げたコマキの視線をたどると、少し高くなった丘の上に大きな病院がそびえていた。
・・・・ここに彼女がいるんだ。
「あれ~・・・・門のところで待ってくれてる、って言ってたのに・・・・早く来すぎちゃったかな・・・・って、あれ?果歩?」
わからない。
どうしてかわからないけど、引き寄せられるように私はその坂を上る。
会いたくなかった。
・・・一番会いたくなかった人。
マアコ・・・。