びいだま
「果歩~っ!早いよ、歩くの・・・・待ってって。今王子来るからさ~・・・・」
ぶっ、とコマキが私の背中に当たって止まった。
「痛いよ・・・・どした・・・の?・・・・あ・・・・・・」
きっとコマキも私の視線の先を見たんだろう、言葉を止めた。
私たちの目の前に広がる風景。
真夏なのに。
暑さなんて感じない。
太陽が照ってるのに・・・
カッカとした刺激がない。
そんな・・・・・まるで・・・
「ビニールハウス、みたいだね・・・」
コマキがつぶやいた。
そして、その中に・・・・・
彼女はいたんだ。