びいだま
「あの・・・・なんで私の名前・・・・・」
とっさにそうきいた私の質問に、マアコはクスクスと笑った。
「だって・・・だって、最近のユウの写真に時々映ってるから・・・・・」
「え?」
「瑞貴はサッカーがあって、誰とでも仲良くなれる性格だけど、ユウは結構慎重なとこあるから・・・・心配してたんだ。高校で友達できたかな、って」
・・・・やっぱりマアコは2人の幼なじみなんだ・・・
マアコの言葉を聞きながら改めて感じたことに、胃の辺りがぐるぐる回るような気がした。
当然のことだけど、ユウが私のこと、友達としてマアコに話してたんだな、って、今さらながら少しショックを受けてる。
「あの・・・・」
私は今、自分でもよそうできないようなことをマアコにたずねようとしていた。
落ち着け、冷静になれ、って叫び続ける私の中の何かが、むっ、とむせかえるような花のにおいに薄れていく。
「マアコ・・・ちゃんは、好きな人・・・いるの?」
ユウの名前は出せなかった。
もしも、そのピンク色の唇から「ユウが好き」って言われたらどうしても立ち直れないような、気がしたから。
・・・・・臆病以外の何者でもないよね。