びいだま
駅のホームを降りると、コマキがちょっといい?って私を呼んでから、申し訳なさそうに両手を顔の前で合わせて、小さな声でつぶやいた。
「ごめん。私もここで」
「え?」
「さっき・・・・メール来たの・・・。会えるって」
「もしかして・・・彼氏?」
「うん・・・・」
コマキの彼氏には家庭がある。
いわゆる不倫というやつで・・・・バイト先で会うほかは、向こうからの連絡を待つしかない、って・・・・
「やめる、って言ってたじゃない」
「ん・・・・とにかく、ごめんっ。この通りっ!」
「コマキ~・・・・」
私の声も虚しく、後姿をみせてコマキは反対方向の電車に飛び乗った。
本当に・・・大丈夫かなぁ・・・。