びいだま
角を曲がると住宅街に入り、急に人通りが途絶えた。
「果歩、いつもこの道通ってんの?」
「ん。そだよ」
「暗いときとか、大丈夫?」
「ん~~・・・・あんまり考えたことなかったけど、そういえばいつもなんとなく早歩きになってるかも」
「あぶなっ。・・・・これからは俺が送ってやるよ」
「え?」
思わず足を止めた私を見て、瑞貴はくっくっ、と笑った。
「冗談だよ、冗談」
「そっか・・・」
一瞬だけドキッ、としちゃったんだけどな~・・・・。
瑞貴には一度告白、みたいのされてて意識した時もあったけど、それからは全然普通の友達以上に冗談とか言い合う仲にはなってるし・・・・。
『あいつはお前のこと好きだよ』
ってユウが言ってたけど、別にそれからも瑞貴の態度はいつもどおりだったしね。