びいだま

「・・・・今日、サンキューな」



ふいに言われた言葉に、少しだけ前を歩く瑞貴の背中を見つめた。



「あいつ・・・・すげー嬉しそうだった」



マアコが最後に大きく手を振りながら見せてくれた満開の笑顔を思い出した。



「ううん。こっちこそ・・・・会えてよかった」



その言葉に、瑞貴が立ち止まって振り返った。




「誰に?」



「え・・・・・?マアコに・・・・だよ?」



驚きながら、とっさに出した私の言葉に、瑞貴は何回か軽く頷きながら、また前を向いた。



「そう・・・・・」



やっぱり、瑞貴・・・・変だ。



瑞貴?どうしたの?


そう呼びかけるつもりだったのに、声に出そうとした瞬間に瑞貴の言葉が重なった。



「あいつはさ・・・・・バカなんだよ」


・・・・?


「あいつは・・・・マアコが病気になったの、自分のせいだって思い込んでる」


「え・・・・?」



あいつって・・・もしかして、ユウのこと、言ってる?





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