びいだま
あそこだ・・・・。
ユウが連れてってくれたとこ。
あの草原は3人の秘密の場所だったんだ・・・・。
「果歩?」
不思議そうに私を見下ろした瑞貴の顔を避けるように、私は声を出した。
「よかったね。マアコも喜んでたでしょ」
その言葉に、瑞貴が少しだけ顔をこわばらせたから、きっとその時何かが起こっちゃったんだろう、って思った。
・・・・・ユウのその後を決める何かが。
「予想してなかったんだ・・・」
私は、ぼそぼそと言葉をつなげていく瑞貴の背中の後ろを、何も言わずに歩いた。
「絶対にその日は晴れ、って予報では言ってたのに、突然大雨が降ってきて・・・・マアコは濡れながら震えだして、大丈夫大丈夫、って言ってたのに・・・そのまま倒れちゃって」
その時の男の子2人の気持ちを想像すると、胸がずんずんと苦しくなってくる。
「・・・で、そのまま入院続行。しかも、長引く、って・・・。俺は・・・・俺は、先に親が迎えに来てくれて、スゲー怒られたけどそのまま帰ったんだ。けど、ユウは・・・・」
そこで、瑞貴は立ち止まって、つぶやいた。