びいだま


そんな私に瑞貴は少し笑ってみせた。


「あいつ・・・・本当に腹立つな」


「え・・・・?」


「ほら・・・・今果歩が答えたときに、涙が、止まった。泣かせるのも泣き止ませるのも、結局ユウかよ。って」



「・・・・ごめん」


「あ~~~っ・・・・ごめん、って言うな」


「え・・・・?」


「ごめん、って言われると、もう絶対あきらめなきゃ、って思うだろ?」



「瑞貴・・・・」



目の前の瑞貴は、にこっ、といつものように笑ってみせた。



「俺、初めてなんだ。こうやって女の子に気持ち伝えるのも・・・・・・・どうしてもあきらめたくない、っていう想いも・・・だから、気持ちがよくわかるんだ」



気持ち?


私の・・・・カタオモイを知ってるから?


忘れられない、あきらめきれない片思いを、わかってるから、なんだよね・・・・。



「お前らの気持ち」



付け足して、瑞貴はなぜか嬉しそうに笑ったんだ。



よく・・・・わかんないけど、瑞貴が笑うから、私もつられて笑った。



瑞貴は、私の頬をぎゅっ、と一瞬だけかるくつねってからその頬を包み込む。



「腹立つ・・・・本当に・・・・・なんでこんなに・・・」



見上げる私の前で瑞貴はそう小さくつぶやいてから、ふっ、ともう一度笑ってその手を下ろした。










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