びいだま

「瑞貴、ここでいいよ。もうそこが家だし」



私が指差す家を見てから、瑞貴は私の頭に手をおいて、じゃあな、と一言言ってからくるりと背中を向きかけて、もう一度ふりかえる。



「果歩。俺、すげーあきらめ悪いから。てか、まだ当分ムリそう。でも・・・・友達は友達だからな」


「うん!」


「あと・・・・俺とユウ。いっつも同じもので喧嘩してた、って・・・知ってるか?」


「・・・うん」



ユウに前聞いたことがある。ビー玉の話・・・。



「知ってるんだったらいいや」


「何?なんのこと??」



歩きながら遠ざかる瑞貴は、大きく手を振って答えた。



「そういうことだよ!・・・・やっぱり鈍いな、お前も。・・・じゃぁな。おやすみ!」



「ちょ、・・・・っと・・・・あ・・・・今日ありがとう!」



叫んだ私の声は彼に聞こえたのか、もう一度彼が手をふってくれたのが、遠目に見えた。


・・・そういうこと、って何?

鈍い、ってどういうこと?


おかしな、瑞貴。



けど・・・・私も人を好きになってわかるから。


告白する時の勇気。

あきらめられない切なさ。



ありがとう。


本当に、ありがとう、瑞貴。








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