びいだま
王子さま
始業式。
長い校長先生の話、ってベタすぎる。
いいかげん気づけばいいのに。
校長先生の人気と話の長さは反比例するって。
ほとんど誰も聞いてない、がやがやとした講堂の中で、私の目はやっぱり彼を探してしまう。
けど……
「垣っち、来てないみたいだね」
「うん・・・」
講堂のどこにも、ユウの姿はなかった。
「あ!王子、発見!!」
コマキが手を振る先を、思わず見てしまった。
瑞貴・・・・。
よ、と遠くで小さく手を挙げて笑う瑞貴から、とっさに顔をそらした。
「もう出よ?コマキ」
コマキのシャツの裾をひっぱって、扉の方に向かう。