びいだま


「そしたらさ、おかしいの。今まですごい好きだと思ってたのに、あのおっさんが泣いて『別れないでくれ』っていうのを見たらさ~・・・全然愛しいとか思わなくて・・・・情けない、って言うか・・・・・一気に冷めちゃった」



「そっか~・・・・恋ってなんなんだろうね」



そうつぶやいた私にコマキはアハハ、と笑って見せた。



「違うよ。果歩。私は気がついたの。それは恋じゃなかったって。自分は果歩に恋と憧れは違う、なんて偉そうに言ってたのに、全然自分のこと見えてなかった・・・だから、」



「・・・・・?」



「・・・・・果歩は私と違うと思う・・・・・う~ん、もしかしたら、果歩の『恋』を見てて私は決めることができたのかなぁ~・・・・な~んて!!」



コマキがごまかすように、私の肩をバンバンと叩いてアハハと笑った。



きっと・・・・こうやって言ってるけど・・・・辛かったんだろうと思う。



「コマキ・・・・頑張ってね・・・」



つぶやいた私の言葉に、コマキはじっとしばらく動きを止めて、空を見上げ続けていた。



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