びいだま
「・・・遅れて、すみません」
教室の入り口から顔を出したのは・・・・
ジャージ姿の瑞貴、だった。
「瑞貴・・・」
「そ。そゆこと」
コマキがにっ、と笑った。
説明なんて、そっちのけで、
「堀部くんだ~」
「王子、かっこよすぎ~」
ざわざわし始める教室の中で、瑞貴はちらっ、と目を走らせると、私たちの方を見て、一瞬微笑んだ。
「きゃー、こっち見て笑った!」
前の席の子が喜んでる。
・・・・今に知ったことじゃないけど・・・瑞貴の人気って、すごいな。
本当に、あの告白が、嘘なんじゃないかなんて、思えてくる。
私なんかを、好きだなんて・・・・未だに信じられない。