びいだま

電車の中で、夕方のオレンジ色にそまる街の流れ行く景色を、私も瑞貴も何も言わないままずっと眺めてた。



つながれた手が、とても熱くて・・・熱くて熱くて・・・・・温かくて・・・



私は、今からどこにいくんだろうと・・・・。



自分の気持ちが、どこに向かっていくんだろう、と麻痺したような頭の中でぼんやりと考えていた。




『新しい出発・新しい出会い』



コマキの声が何度も何度も繰り返しぐるぐるまわってる。



手が外せないほど・・・・私は瑞貴のことが嫌いじゃない。



好きだよ。



けど・・・・・・




目の前に座ってる親子連れ。


小さい男の子が手で何か一生懸命遊んでる。


「あ・・・・・」


男の子の声と、私の声が重なった。


その手の中からコロコロと転がり落ちる。



それは、幾粒かの、ビー玉。


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