本当はね、大好き。

「先生、わたしソロがいいです。」

「連弾は誰か違う子とやってもらったほうがうまくいきます!絶対。」

そのときわたしの知らない人が初めて口を開いた。

「この前のお礼と思ってやってよ!」

声を聞いて、その声をどこかできいたような気がした。

「ね、お願い。」

え、まさか、あいつ?

「この前の電車の方ですか?」

「うん。」

あー、なんて世間はせまいんだ。

< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop