光輪学院高等部・『オカルト研究部』
キーんコーンカーンコーン…

学校の鐘が鳴る。放課後を告げる鐘の音が。

この学校には本物の鐘があり、毎日事務員の人が時間になるとわざわざ鳴らす。

「ご苦労なことで…」

教室の中が開放感に満ちる中、和の美少女・神無月は憂いた表情で呟いた。

色白の顔が青白く見えるほど、憂いている。

「はぁ~」
 
カバンを手に持ち、ノロノロと立ち上がる。

そこで教室がふと騒ぎ出したことに気付いた。

「やあ、神無月。一緒に部活に行こう」

爽やかさ満点で現れた依琉。

だが『部活』の一言で、彼の周りにクラスメート達はズササッと後ずさった。

「うっ…」

神無月は硬直した。

会いたくもなければ見たくもない人物が、教室の扉の前で自分を待っている。

「今日は特別な日だからね。迎えに来たよ」

途端にクラスメート達はボソボソと話始めた。

―オカ部の…―

―例のウワサ…―

―先生達も公認で…―

その様子を見て、神無月から血の気が引いていった。

が、拳を握り締めると、駆け寄り依琉の手を引いて教室から飛び出した。

そして人気の無い階段の裏へ回ると、その手を勢い良く離した。

「何の恨みがあるのよ! 依琉っ!」

「恨み、とはヒドイなぁ。ボクは迎えに行っただけじゃないか」
< 4 / 86 >

この作品をシェア

pagetop